「三浦半島のカーボンニュートラルへの挑戦」by三浦COCOON×16 Startups

京急電鉄が事務局を務めるエリアマネジメント組織「三浦COCOON」と、そのファミリーの一員でもある「16 Startups(イチロク・スタートアップス)」は、2022年7月13日、「COCOONファミリーMeetup!×イチロクカンファレンス 三浦半島のカーボンニュートラルへの挑戦」と題したウェビナーを開催しました。

”16ポーズ”でキメる、登壇者のみなさん

初のコラボレーションとなる今回のウェビナーのテーマは、「三浦半島のカーボンニュートラルへの挑戦」

16 Startupsの相澤謙一郎氏を進行役に、神奈川県環境計画課、(株)横浜銀行、湘南菱油(株)、(株)三崎恵水産からゲストスピーカーを迎え、脱炭素への取り組みや今後の展望についてのプレゼンテーションならびにディスカッションが行われました。

16 Startupsを運営する(株)マチノベCEOの相澤氏

ウェビナーの冒頭では、京急電鉄 生活事業創造本部 まちづくり統括部 課長 佐々木忠弘氏が登壇し、三浦COCOONの取り組みを紹介しました。

最新情報として、三浦COCOONの経路検索画面において、「温室効果ガス排出量削減効果の可視化機能」を今年11月に実装することを発表。本事業が国土交通省の「令和4年度日本版MaaS推進・支援事業」に採択されたことを報告し、「COCOONファミリーと連携して施策に取り組み、三浦半島全体での温室効果ガス排出量削減を目指したい」と述べました。 

三浦COCOONを代表して登壇した佐々木氏

続いて、1人目のゲストスピーカー、神奈川県環境計画課地球温暖化対策グループの向井和彦氏が登壇。

神奈川県では直近6年間で二酸化炭素排出量が約12.5%減っており、2030年には半減、2050年には実質ゼロを目指していることを説明しました。そして、その実現のために掲げる「かながわ脱炭素ビジョン2050」について、「再エネ・電化・DX」がカギであること、なかでもDXが進むことで作業が自動化・効率化され、省資源・省エネにつながることを主張しました。

さらに、一人ひとりが実践することが推奨される「脱炭素型ライフスタイル」のイメージ図を紹介。食の地産地消を心かける、電気調理器具を使用する、テレワークで移動コストを削減するなど、日々の生活のなかでできることを具体的に紹介しました。

神奈川県環境計画課地球温暖化対策グループの向井氏
脱炭素型ライフスタイルのイメージ図(例)

2人目のゲストスピーカーは、(株)横浜銀行 地域戦略統括部 地域戦略・SDGs推進グループの安藤亮氏。

国や大企業だけでなく中小企業にも脱炭素の取り組みが求められ、それが企業の評価にも影響すると強調しました。

一方、中小企業では、情報、知識、人材などの面で制約があり、具体的な方策が検討されていない実情を指摘。行政や金融機関によるサポートが不可欠であるとし、取引先への支援を行う横浜銀行の取り組みについて紹介しました。

さらに、地域企業のSDGs経営を支援するための「サステナブルファイナンス」について言及。「脱炭素の取り組みは地域の盛衰にも関わる事案であり、今後も金融面から支援したい」と述べました。

横浜銀行 地域戦略統括部の安藤氏

 3人目のゲストスピーカーは、湘南菱油(株)営業副本部長の大場雅史氏。

冒頭では、災害時などいざというときに社会的インフラを支えるのは電気よりも化石燃料だとして化石燃料の価値を訴えました。

また、代替燃料として、二酸化炭素と水素からなる合成燃料の実証実験が進んでいることを紹介。既存のインフラで給油可能であり、今後の実装が期待されると述べました。さらに、化石燃料を扱う会社としてジレンマを抱えつつ、EV充電器の設置拡大やガソリンスタンドの地域開放、マルシェ開催を通したフードロス問題やゴミゼロ運動への取り組みなど、地域に根ざした自社の活動を紹介。

「大事なのは、ポジティブな気持ちで取り組むこと。COCOONファミリーの皆さんと一緒に取り組んでいきたい」と締めくくりました。

湘南菱油(株)営業副本部長の大場氏
マルシェの開催など、地域に根差した活動を行っている

 4人目のゲストスピーカー(オンライン参加)は、(株)三崎恵水産 代表取締役社長の石橋匡光氏。

冒頭では、まぐろ流通業では輸送や冷凍などの過程で大量のエネルギーを消費せざるを得ない実状を紹介しました。そのうえで、「“50年後にもしっかりと旨いマグロを!”をコンセプトにサステナビリティに取り組んでいる」とし、廃棄部位を活用した肥料づくり、工場屋上での太陽光発電、横浜銀行のサステナブルファイナンスを利用した自然冷媒冷凍機の導入など、再エネ・カーボンオフセットへの取り組みを紹介。自然冷媒冷凍機の導入により、年間232.9トンもの二酸化炭素削減が可能であるという試算も発表しました。

そして最後は、「エネルギーを消費する産業だからこそ、自然へのリスペクトを実現する企業であり続けたい」と締めくくりました。

(株)三崎恵水産 代表取締役社長の石橋氏は
オンラインで登壇

ウェビナーの後半では、「三浦半島ならではのカーボンニュートラル」について、登壇者によるディスカッションが行われました。

登壇者からは、「地域で取り組むには、チームワーク、そして楽しくやることが大事。三浦半島ではそういう下地ができているのではないか」「観光、MaaSの視点から取り組む脱炭素が、このエリアらしさではないか。モビリティを駆使して、住民にも還元できる取り組みにつなげたい」「横のつながりの強さを活かすことで、他地域に先駆けた取り組みができるのではないか」「カーボンニュートラルというと重たく捉えられがちだが、三浦半島の生活の中に当たり前にあるものにしていきたい」などの意見が挙がりました。

これを受けて、テーマは「三浦半島でのカーボンニュートラルの展望」へ。

登壇者からは、「予想不可能な未来に向けて、いろんな人が集まってフラットに話し合える環境を整えておくことが大事」「三浦半島のポテンシャルを活かして、リゾート地としても発信できるような地域にしていきたい」「自分の会社だけでなく、みんながハッピーになれる仕組みが作れたら、変わっていくのではないか」などの意見が交わされました。

和やかな空気のなか行われたディスカッション

 最後は、進行役の相澤氏が「今日は改めて三浦半島のポテンシャルに気づくことができた。COCOONファミリーとして、みんなで連携して盛り上げていこう」と締めくくり、ウェビナーは幕を閉じました。

最後はCOCOONポーズで締めくくり!

今後も「三浦COCOON」で取り組むカーボンニュートラル、ご注目ください!